訳あり減量堂

ひとつ目の訳。わたくし共は箱を捨て、実を取りました。

世間の仕掛けは、診療代に見えない土地代が乗っておる、というものでございます。

長年、生活習慣病と向き合ってまいりましたが、その頃とは、世の中も随分と変わりました。いつしか、立派なビル。豪華な待合室。そういった箱の立派さが、診療所の格であるかのように語られるようになりました。

日本橋や銀座の一等地。そこに構える、大理石の床。革張りのソフア。ただ、その箱を維持するための莫大な賃料や人件費は、皆様が支払う診療代に上乗せされておる。これは、冷静に考えれば、なかなかに奇妙な話でございます。

わたくしの筋。それは、その見栄を、すべて捨てること。

当院は、患者様が来院されるための窓口としての店舗は持ちません。わたくし共が持つのは、薬を厳格に管理する倉庫。診察を行う通信室。そして皆様からのお声を聞く係。ただ、それだけでございます。

これは無論、闇医者の類とは全く異なり、法令に則った正規の医療体制でございます。医療機関としての実に資源を全集中し、名目にかかる無駄を、すべて削ぎ落としたまででございます。

ふたつ目の訳。わたくしは広告の代わりに算盤をお見せします。

世間の仕掛けは、皆様の支払う薬代の半分が、広告屋の懐に入っておる、というものでございます。

マンジャロとヤフーで検索して、一番上に出てくる診療所。あれは魔法ではございません。皆様から頂いたお金の、下手をすれば半分以上を、広告代理店に支払っておる。だから、一番上に居られるのでございます。

近江商人の三方よし。素晴らしい言葉がございました。しかし、現代の商いは、買い手と売り手の間に、広告屋という巨大な胴元が介在しております。その取り分が、法外に大きくなってしまった。わたくしは、そう感じておるのです。

わたくしの筋。それは、その常識を、真っ向から否定すること。

当院の広告宣伝費は、ゼロでございます。流行りの口利き役にも、一銭たりとも払いません故。

わたくしは、良き品を、正直な値で売れば、人は必ずついてくる。この、古臭い商売人の義を信じております。お客様が、あそこの爺さん先生、安くてちゃんとしてるよ、と。そう紹介してくださること。それこそが、わたくし共が唯一頼る広告でございます。

そして、皆様への信頼の証として。この業界で初めて、価格の裏側、すなわちわたくし共の算盤を公開いたします。

我々が定期プランで一万三千六百円でご提供しているものを例といたしましょう。

項目	金額
薬の仕入れ値	¥8000
医師人件費（アルバイトの医師）	¥2000
送料	¥1100
物流・梱包費	¥300
決済手数料	¥600
運営・仕掛け費	¥1000
原価合計	¥13000
販売価格	¥13600
当院の利益	¥600

これを見て、皆様はどうお感じになるでしょうか。わたくし共は、これを暴利とは思いません。この利益の薄さ。これこそが、わたくし共の誠意。皆様に口伝で応援して頂くための種なのでございます。

みっつ目の訳。百貨店ではなく専門店の覚悟でございます。

世間の仕掛けは、ついで買いを誘う在庫が、すべて費用となることでございます。

多くのクリニック様は、マンジャロ以外にも何十種類もの薬を揃えておられます。いわば百貨店。しかし、その経営は、必ず売れ残りや在庫管理という無駄を生みます。

わたくしの筋。それは、マンジャロ以外を取り扱わないこと。

資源を一点に集中させる、専門店でございます。

よっつ目の訳。診察は手短に。過剰なおもてなしは薬代に乗せません。

世間の仕掛けは、丁寧なカウンセリングという名の、高額な人件費。

専門のカウンセラーが、あなたのお悩みに三十分じっくり寄り添います。結構なことでございます。しかし、その三十分の人件費は、もちろんお客様の薬代に含まれております。

わたくしの筋。当院の診察は、手短でございます。

わたくしは、医師として安全を担保することに全神経を集中させます。医学的な問診や確認は絶対に行います。しかし、世間話や長時間の慰めはございません。手厚いおもてなしを削る代わりに、価格でお返しする。それが当院の訳でございます。

いつつ目の訳。わたくしが捨てるのは豪華な箱。かけるのは安全な輸送でございます。

世間の仕掛けは、立派な箱、小冊子、おまけの品々。

商品が届いた時、厚紙でできた立派な箱。金色の箔押し。ブランドのロゴが入ったポーチ。わたくしが子供の頃。お中元で立派な木箱に入った石鹸が届くと、中身よりもその箱に心躍らせたものでございます。しかし、その箱やポーチに、数百円、時には千円以上の代金を払っておるのです。

わたくしの筋。それは、梱包を質素にすることを徹底すること。

わたくしがコストをかけるのは、見栄えのする箱ではございません。中身の品質を保つためのクール便の費用。送料千百円は原価の大きな割合を占めます。ここだけは絶対に譲りません故。

むっつ目の訳。このウエブサイト、わたくしが手作りいたしました。

世間の仕掛けは、このページの見た目に、大きな利用料がかかること。

今、あなたが見ておられるこのウエブサイト。少々、古風で、無骨と感じられませんか。多くの診療所様は、何十万円も何百万円する高価な予約の仕掛け。確かに、それらを使えば、新しく見目の良いウエブサイトが簡単に作れるのでしょう。しかし、その借り賃は、毎月、確実にあなたの料金に上乗せされております。

わたくしの筋。

このウエブサイトは、外部の業者に頼らず、わたくしが、知人の力を借りながらこつこつと手作りいたしました。見栄えは劣るやもしれません。しかし、機能は十分でございます。だから、この仕掛けの運営にかかる見えないコストを、価格に上乗せする必要が一切ございません。